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今日の私へ

日刊スポーツ・冬季オリンピック

        1.里谷胴メダル 2.清水銀メダル

 清水「悔しい」、銀メダル/スケート

 

<スピードスケート:男子500メートル>
◇12日◇2回目◇五輪オーバル

 長野五輪に続く2大会連続の金メダル獲得を狙った清水宏保(27=NEC)が銀メダルを獲得した。日本選手が冬季五輪の個人種目で2大会連続でメダルを獲得したのは、フリースタイルスキー女子モーグルの里谷多英(25=フジテレビ)に次いで2人目。今大会の日本勢のメダルは2個となった。

 清水は、11日の1回目では、トップのケーシー・フィッツランドルフ(27=米国)と0秒19差の2位。この日の2回目は34秒65と、フィッツランドルフの34秒81を上回ったが、合計で0秒03差及ばず、逆転の金メダルはならなかった。

 フィッツランドルフが金。銅は1回目3位のキップ・カーペンター(米国)だった。

 武田豊樹(28=SHI)は8位、羽石国臣(27=三協精機)は12位、堀井学(29=PJMジャパン)は14位だった。

 清水はレース後、無念の表情を見せた。「正直、くやしい。今季アウトからの34秒台は、今日が初めて。トップスピードの経験がすべて不足していた。体も不安で100%の状態ではなかった」とレースを振り返った。

 また、清水は、負傷した腰の治療に専念するため、W杯など今季後半戦のレースを欠場すると話した。五輪期間中はソルトレークシティーに滞在し、閉会式にも出席する予定。


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多英、銅!「私って凄い」/モーグル

 <モーグル>
 また里谷だった。多英がメダルを取った。フリースタイルスキー・モーグル女子で長野五輪金メダリストの里谷多英(25=フジテレビ)が銅メダルを獲得した。今大会日本人第1号はもちろん、2大会連続個人種目メダルは日本冬季五輪史上初。日本通算30個目の区切りのメダルにもなった。予選は6位も、決勝でダブル―トリプルの高いエアと全選手中2番目の好タイムをマーク。大舞台で勝負強さを発揮した。予選4位の上村愛子(22=北野建設)は6位だった。

 急斜面を一気に駆け降りる。里谷に不安も、迷いもなかった。ゴール地点でよきライバル上村と向き合った。「おめでとう」「ありがとう」。それだけで分かり合える。ライバルでもある2人の目には涙が光った。大舞台で結果を出した。

 4年に1度の集中力だ。予選は6位。上位には力のある米国3選手が名を連ねていた。「滑りには自信があった。技で負けても、大丈夫と思った」。第1エアでツイスター・スプレッドを決めると、第2エアではトリプル・ツイスター。世界一と評価されるこぶを滑る技術、ターンにミスはない。タイムも2位の34秒23。この時点でトップに立ち、残り5人を待った。

 今季W杯では1月の第5戦での4位が最高と不振が続いた。メダル獲得へ大技「クオッド」への挑戦も考えた。が、予選でトップの点をたたき出したターンと、持ち前のスピード、自分のスタイルに集中した。「お父さん、見ててね」。心でつぶやき、スタートを切った。

 ポケットには父との思い出の品を入れた革のお守りがあった。長野五輪の前年、97年7月に父昌昭さんが死去した。長野の金メダルは父にささげた。「長野では父の力をもらった」と振り返る。「今回は自分の力で滑った。前回は『ありがとう』と(父に)報告したけど、今回は『やりました』と報告します」。

 練習嫌いといわれることもある。マイペースぶりは周囲をはらはらもさせた。しかし大舞台が近づくにつれ、練習量は増えた。大会前日も、前々日も公式練習で最後まで残っていたのは里谷だった。「疲れた方が気持ちよくなっていい滑りができる」。自らにそう暗示をかけた。直前のコロラド合宿の成果もあった。そっくりなコース、しかも本番より18メートル長いコースで滑り込んだ。「私は五輪に合わせて頑張っている。だから、大舞台に強いのは不思議だとは思わない」。こぶが一定し滑りやすいのがコース左側と特徴も把握していた。無欲で勢いに乗った長野とは違った。

 4年前、一躍、スキー界のアイドルとなった。頂点に立った満足感から直後に引退を考えた。仲間うちで「引退式」までやったこともあった。転機は2季前。足を骨折し、競技ができる喜びをあらためて知った。

 もう簡単に引退を口にはしない。レースを終えると、観戦していた母まち子さん(50)を見つけ「私って、すごくない?」と誇らしげだった。「愛子とはトリノ(06年五輪)までやろうかと言ってた」。3大会連続メダルの偉業に挑戦する意欲が芽生えていた。

 ◆里谷多英(さとや・たえ) 1976年(昭和51年)6月12日、北海道札幌市出身。5歳からスキーを始め、小6でモーグルに転向。89年全日本選手権初出場初優勝の快挙を成し遂げた。札幌北陽中−東海大四高−北海道東海大−フジテレビ。94年リレハンメル五輪11位。98年長野五輪金メダル。W杯通算2勝。166センチ、55キロ



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