2年ほど前、私が四国八十八ヶ所を歩き遍路した際に始めて知り合って大変お世話になったNさんから分厚い手紙を頂いた。
Nさんには私が四国を歩き始めて3〜4日後に始めて出会い、40日後八十八番大窪寺で結願を迎えた際も一緒だった。その間相談して同一行動をした訳ではないのだが、偶然同じ宿に泊まることもあったし、一緒に歩いた事も多かった。 という事は40数日間だいたい私と同じ距離を(平均一日30Km)同じ速度で歩いたことになる。私より7歳も年上とはとても思えない若さで、その健脚振りには驚かされた。一緒に歩いた道中、色々貴重な体験談や遍路の情報等を教えていただき、私が無事に歩き遍路を達成することが出来た恩人の一人だと思い感謝している。 結願の夜八十八番大窪寺門前の民宿で、ビールで乾杯互いの健闘を称えあった。翌日、1番霊山寺まで一緒に30数キロ歩いてお礼まいり。夕刻Nさんとはここで別れた。私は翌日バス・電車・ケーブルと乗り継ぎ高野山奥の院へ向かったのだが、Nさんは歩いて高野山まで行くとのことで驚かされた。 手紙は、そのNさんが又四国八十八ヶ所の「歩き遍路」を終えたとの事。前回は通し打ちだったが今回は奥様も一緒で3回の区切り打ちで無事結願、2度目なので「別格二十札所も同時に参る」「ルートが二つある場合は遠回りでも前回と違う道を通る」「横峰寺から石鎚山へも登る」「ゆっくり観光もする」と内容も余裕たっぷりでうらやましい限りだ。 50日間の詳細な日程(歩行距離・宿泊先・お参りした寺等)と遍路中の苦心談(膝を痛めたり・熱が出たり・大雨で道が壊れ通行止めで大回りをしたこと等々・・)を読ませてもらった。大変だったことのほうがたくさん書いてあるけれど、充実した旅を無事終えた達成感と喜びが手紙のあちこちから手に取るように読み取れた。 そして手紙の終盤には、4年後には75歳を記念して逆打ちの歩き遍路を計画しているとの事、(逆打ちは道路標識等も少ないので大変なのです)それまで健康に留意してがんばるのだとも書いてある。二重の驚きだった。 この手紙を頂いて私は大変なカルチャーショックを受けた、そしてNさんがうらやましかった。4-50日にわたる「歩き遍路」の苦しさ、大変さは経験した人でなければわからないと思います。でも一度経験した人はその苦しみ以上の喜びがあることを体験して知っているからです。 私も毎日近くの「八国山」を散歩しながら「四国を歩いた日のこと」を思い出さない日はない。でも最近では「もう一度歩くのは無理かな?」と弱気も出てきた。そんな時にこの手紙、もっと勇気を出さなければと反省させられました。 Nさんおめでとうございました。有難うございました。
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